小林市地域おこし協力隊の活動が始まって、早いもので4ヵ月が経ちました。
最近の主な活動は、野尻の暮らしを伝える「のじり聞き書き」。
聞き書きで取材した内容を冊子にまとめながら、野尻庁舎だより(町の広報誌)・ケーブルテレビの10分間番組「こばナビ」に展開して、発信しています。
一昨日は、「こばナビ」の取材でメロン農家さんを訪問してきました。
企画・台本作成・レポーターまで担当させてもらっています!
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目次
聞き書きとは??
聞き書きとは、
一人の「話し手」の方に対して、一人の「聞き手」が1対1でお話を伺います。
話し手となっていただくのは、80歳前後の方々です。
話し手の方の生活や考え方、お仕事の話などを伺い、歩んでこられた人生が浮かび上がるような文章にまとめていきます。(出展:あすけ聞き書き隊)
地域の歴史・お仕事・歩んできた人生などのお話を伺って、
私は大学時代に「聞き書き」に出会い、魅了され、ひそかに聞き書き活動を続けてきました。
協力隊の活動としてやりたかったことの一つが、聞き書きでした。
私が担当する野尻町は、5年前に合併し新しい歴史を歩み始めていましたが、合併前は「フロンティア精神実践の町」を宣言し、様々な改革に取り組んできた町です。
合併して忘れられていく、埋もれている歴史・物語を残したいという役場の希望と、私のやりたかった聞き書きが一致して、協力隊の活動として力を入れさせてもらえることになりました。
「聞き書きを仕事としてできたらいいな」
ずっと思っていたことができている現状は、とても嬉しいです。
最初の聞き書きのテーマは、貧しかった町の農業を変えた
「メロン」の開拓物語
水がなかった町に何十年という月日をかけて近隣の町から水路を引いた「開田物語」や、
北海道から歩いて牛を連れてきたことから始まった「畜産」、
農業の町として、農家の暮らしと密接に関わる「風習や文化」、
「かった(メンコ)」や「めじろとり」や「山遊び」など昔の子どもたちの「遊び」、
残したい、次の世代に届けたいテーマは様々あってネタは尽きないのですが、
最初の聞き書きは、野尻の「メロン」の開拓物語から始めることにしました。
「水が無いから何も作れない」諦めムードの中、
手を挙げたのは当時二十歳の5人の若者たちだった
野尻には、「メロンドーム」というメロンの形をした物産館や、国道沿いにあるメロンの形をした「メロン街灯」、毎年開かれる一大イベント「メロン・マンゴーフェア」など、メロンがいたるところに存在しています。
「野尻と言えばメロン」
そういわれるくらいメロンは有名なのですが、その始まりがまた興味深いのです。
時代はさかのぼり昭和40年。
当時、野尻の主な畑作は原料用のかんしょ(サツマイモ)でした。
公害問題や、澱粉の輸入自由化に伴いサツマイモの価格は低下、農家の家計を苦しめます。
野尻の産業は農業がほとんどだったため、農家の貧しさ=町全体の貧しさだったのです。
「サツマイモに代わる作物を何か作れないか」
「でも、野尻は水利が乏しいから何をやってもうまくいかない」
そんな声が聞こえる中、当時、小林農業改良普及所の職員だったHさんが立ち上がる。
「砂漠でも作物はできている。水がないなら乾燥に強いメロンはどうだろう!」
Hさんと役場の職員で、毎晩各公民館を周り、メロン栽培について説明会を開きました。
人は集まるけど、話を聞くと口々に
「そんなものは無理だ」「メロンなんて食べたこともないもの作れるわけがない」
と、なかなか賛同者は現れません。
そんな中、最後の一つとなった公民館での説明会の翌日、「やってみたい」と連絡が入る。
それは、当時二十歳の5人の若者たちだった。
当時を知る方々に聞き書きを開始。
数珠つなぎに広がる様々な想いに触れ、胸が熱くなる。
野尻のメロン栽培の始まりが5人の二十歳の若者だったという話を聞いて、とても興味が湧き、聞き書きの最初のテーマとして取材を始めました。
50年近く前の話なので、すでに亡くなっている関係者の方もいましたが、役場の課長にキーマンを紹介してもらい、その人からまた次の人へと、数珠つなぎでお話を聞いていきました。
最初は、恥ずかしいと言ってあまり話てくれなかったりもしましたが、徐々にいろんなお話に出会うことができ、当時のことを昨日のことかのように話してくれる姿に触れ、お話を聞かせてもらえることが嬉しくて、どんどん引き込まれていきました。
「みんなで再び集まるきっかけを作ってくれてありがとう」
聞き書きの活動をしていて、私自身はとても話を聞けて嬉しくて楽しく仕事をさせてもらっているのですが、形になるまでは、
「忙しい中話を聞かせてもらって悪いなぁ」
「読んでもらえるかな、昔の話に興味もってもらえるかな・・」
「大きなイベントとかと比べて地味な活動だよね…」
などいろいろ不安な気持ちも湧いてきました。
でも、第一弾が野尻庁舎だよりとして発行された後、
「昔から野尻に住んでいるけど知らなかった。知れてよかった」
「面白かったよ」
などと地域の方から感想をいただけて、
そして取材に協力してくれた本人や家族の方々が、とても喜んでくれて・・・
何よりうれしかったです。
そして、今回の取材をきっかけに、当時一緒にメロン栽培に関わった人たちで集まろう!と招集をかけてくださり、そのときにさらにいろいろなお話を聞かせてもらうことができました。
みんなで集まるのは十数年ぶりで、ゆっくり話すのは何十年ぶりだろう・・
という集まりで、
「集まろうという話はあったけど、なかなか実現しなかった。きっかけを作ってくれてありがとう」
そう言ってくださり、とてもとても嬉しかったです。
地域に眠る宝物を掘り起こして、それを発信して地域のPRに繋げることはもちろんですが、それをきっかけに、地域で暮らす方々が自分たちのことを、町を、紡いできた歴史を、誇らしく感じたり、改めて良いなと思うきっかけになることが一番うれしい。
そんなことを感じた最近でした。
「野尻メロン物語」の聞き書きした内容は、また後日お届けします!
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「#移住日記」書いてます。
宮崎県小林市で地域おこし協力隊やってます。
北海道函館出身の86世代。自然の中で食・住・ナリワイを創る暮らし目指して、2015年9月26日から夫婦で東京から宮崎県小林市野尻町へ移住。広告営業、地域情報誌の記者編集、広報などを経て、現在は地域おこし協力隊&聞き書きライターとして活動中。
広報PRの仕事や聞き書き本の制作・ハーブを中心とした畑づくりをしながら、移動式古書カフェ・ゲストハウスオープンへ向けて準備中です。